乳歯のむし歯は放置しても大丈夫?6歳の奥歯と永久歯への影響

乳歯のむし歯は放置しても大丈夫?6歳の奥歯と永久歯への影響

「奥歯もそのうち抜けるから」と考える前に

就学前健診の用紙に、奥の乳歯のむし歯の指摘。前歯がぐらつき始めた時期だと、「奥歯ももうすぐ生え替わる」と感じるご家族は少なくありません。けれど奥の乳歯は、6歳からまだ数年使い続ける歯です。

この記事では、歯の種類ごとの生え替わり時期、むし歯の深さで変わる永久歯への影響、片側でかむといった変化の受け止め方を整理しました。痛みを訴えていない段階でも、状態を確かめてから対応を選べます。後半では、怖がるお子さまとの受診や、きょうだい連れで相談するときの確認事項も紹介します。

この記事の要点まとめ

  • 乳歯の奥歯は9〜12歳ごろに生え替わる目安で、6歳では数年使うため、むし歯の状態を確認することが大切です。
  • 永久歯への影響はむし歯の深さや根の先の感染で異なり、片側でかむなど食べ方の変化も受診の目安になります。
  • 診察では生え替わりまでの期間などを踏まえて治療や経過観察を相談し、腫れ・発熱・強い痛みは早めに受診します。

目次

6歳の奥歯のむし歯を放置すると?生え替わりと永久歯への影響

6歳の奥歯のむし歯を放置すると?生え替わりと永久歯への影響

前歯は6〜8歳ごろ、奥の乳歯は9〜12歳ごろが生え替わりの目安

前歯が抜け始めても、奥の乳歯が抜けるのはまだ数年先というのが一般的な流れです。生え替わりは前から順番にすぐ進むわけではなく、歯の種類によって時期にかなりの幅があります。

歯の種類 生え替わり・生える時期の目安
乳歯の前歯 6〜8歳ごろに永久歯へ生え替わる
奥の乳歯(乳臼歯) 9〜12歳ごろに永久歯へ生え替わる
6歳臼歯(第一大臼歯) 6歳前後に、乳歯のさらに奥へ新しく生える

時期には個人差があり、1〜2年前後することも珍しくありません。つまり、6歳のお子さまは奥の乳歯をこの先3〜6年ほど使い続ける計算になります。

もうひとつ区別しておきたいのが「6歳臼歯」です。乳歯の奥に顔を出すこの歯は生え替わりではなく、最初から永久歯として生えてきます。むし歯のある乳歯のすぐ隣に並ぶため、お口全体のむし歯菌の状態も一緒に見ておきたいところです。

永久歯への影響は、むし歯の深さや根の先の感染で変わる

どの乳歯のむし歯でも、永久歯に影響が出るとは限りません。影響が考えられるのは、むし歯が神経まで進み、根の先に炎症や膿がたまった場合です。

乳歯の根のすぐ下では、永久歯がつくられている最中です。根の先の炎症が長く続くと、育っている永久歯の表面に白や茶色のまだらが出たり、一部が弱いまま生えてきたりすることがあります。生える向きや時期がずれるケースも知られています。

一方、エナメル質(歯の表面の硬い層)にとどまる浅いむし歯なら、こうした心配は小さいと考えられます。気をつけたいのは、痛みが引いたことが、治ったことを意味するとは限らない点です。神経が弱って痛みを感じにくくなっている場合もあり、見た目や痛みの有無だけでは深さまでわかりません。

乳歯を早く失うと、生える場所や食べ方に変化が出ることも

乳歯には、食べ物をかむ役割と、後から生える永久歯の場所を取っておく役割があります。むし歯が進んで奥の乳歯を早く失うと、その両方に変化が出ることがあります。

すき間ができると、隣の歯がそちらへ少しずつ傾いたり寄ったりします。奥の乳歯のうしろには6歳臼歯が控えているため、この歯が前へ寄ってくると、下で待つ永久歯の生える場所が狭くなる場合があります。

ただ、どの歯をいつ失ったかで影響は変わり、歯並びが乱れると決まるわけではありません。食事の面では、かみにくい側を避けて片側でかむ、硬い物を残すといった変化が出やすくなります。かむ場所が偏ると食べやすい物ばかり選ぶようになり、食生活にも響いてきます。

片側でかむ変化は早めに相談し、腫れや発熱があれば受診を急ぐ

痛いと言わなくても、食べ方の変化は受診を考えるきっかけになります。むし歯のほか、歯ぐきの炎症や生え替わり途中の歯のぐらつきが理由のこともあるので、原因を確かめておくと安心です。

  • 早めに相談したい変化:硬い物を残す、片側だけでかむ、食事に時間がかかる、冷たい物をいやがる
  • 当日の相談を目安にしたい症状:強い痛み、歯ぐきや顔の腫れ、発熱
  • 救急受診も考えたい状態:息苦しさ、飲み込みにくさ、急に広がる腫れ

ポイント

痛みの訴えがなくても、片側でかむ・硬い物を残すといった食べ方の変化は、診察を受ける目安になります。

ご家庭で重症度を決めきる必要はありません。迷ったときは、気づいた変化をそのまま歯科医院へ伝えてください。痛み止めを使うなら子ども用のものを薬剤師に確認したうえで量を守り、腫れた所を温める、歯ぐきのふくらみを押すといった対応は控えましょう。

乳歯を残す治療か経過観察か、診察で確かめたいこと

乳歯を残す治療か経過観察か、診察で確かめたいこと

むし歯の深さ・感染・生え替わりまでの期間で対応を選ぶ

乳歯のむし歯への対応は、「治療するか、そのままにするか」の二択ではありません。むし歯の深さ、根の状態、生え替わりまでの年数を合わせて選びます。診察では目で見るだけでなく、必要に応じてレントゲンで、むし歯の広がりや下で育つ永久歯の位置を確かめます。

むし歯の状態 一般的に検討される対応
初期のむし歯(穴があいていない) フッ素塗布、歯みがきの見直し、定期的な確認
穴があいたむし歯 傷んだ部分を必要な範囲で整え、詰める処置
神経まで進んだむし歯 神経の処置をしたうえで、かぶせる処置
残すことが難しい歯・感染が広がった歯 抜歯を検討し、必要に応じて永久歯の場所を保つ装置を相談

生え替わりが近い歯なら、処置を控えめにして自然に抜けるのを待つ判断もあります。反対に6歳で奥の乳歯にむし歯がある場合は、まだ使う年数が長いため、残す方法から考えることが多くなります。

ポイント

経過観察は放置とは違い、決まった間隔での再診とご家庭でのケアを組み合わせて、進み具合を見守る方法です。

いずれの処置にも、次のような症状や不具合が起こることがあります。気になる様子があれば、早めに歯科医院へ伝えてください。

  • 詰める処置のあと:しばらく冷たい物がしみる、かんだときに違和感や痛みが出る、詰め物が欠けたり外れたりする
  • 神経の処置・かぶせる処置のあと:数日ほどかむと痛む、歯ぐきが腫れる、処置した歯の色がやや変わる、かぶせ物が外れる
  • 抜歯のあと:痛み、出血、歯ぐきの腫れ。装置を使う場合は、装置の周りに汚れがたまりやすくなったり、装置が外れたりすることがある
  • 麻酔を使ったとき:しびれが残る数時間のあいだに、唇やほおの内側をかんで傷つけてしまうことがある

当院への受診を検討する際も、「見つけてすぐに削る」のではなく、進行の状況に合わせて管理する方法について相談しましょう。乳歯の処置は、永久歯への生え替わりを見すえて必要な範囲を判断することが大切です。

初診から治療後の予防まで、通院の見通しを聞いておく

通院回数は、むし歯の本数や深さ、神経の処置の有無、お子さまが診療に慣れるまでの時間で変わるため、一律には言えません。だからこそ、初回の説明で見通しを聞いておくと予定を組みやすくなります。

一般的には、症状や過去の受診経験の聞き取り、診察と必要な検査、現状の説明と治療計画の相談を経て、優先度の高い歯から処置へ進みます。状態の把握に用いられる検査には、唾液検査(シルハ)や、あごの成長や歯並びの確認に用いるセファロ(頭部のレントゲン)などもありますが、目的や必要性に応じて選ばれます。当院に相談する際も、「お口の中の状況ってよくわからない」と感じる点や検査の目的を聞き、悪い部分の治療からその後の予防までを一続きで考えることが大切です。

診察の際は、「どの歯を優先するか」「次回は何をするか」「ひと区切りまで何回くらいか」の3点を聞いておくと、仕事や下のお子さまの予定と合わせやすくなります。治療後は仕上げ磨き、間食の回数やタイミング、フッ素塗布、奥歯の溝を樹脂でふさぐシーラントへとつなげていきます。

怖がるお子さまには、慣れる練習と必要な処置を相談する

以前の受診で泣いた経験があっても、段階を踏むことで少しずつ診療台に向かえるようになるお子さまもいます。

当院への受診を考えている場合も、初診で過去に嫌だったことを伝え、待合室や診療室の雰囲気に慣れること、診療台に一人で座ることから順に進める方法を相談しましょう。無理に処置を進めず、お子さまが自分から口を開けられるようになるまで待つなどの対応が考えられます。診療台のモニターでアニメを流す医療機関もあります。

最後まで頑張れたときは、「よく頑張ったね」と言葉にして伝えます。できたことを一つずつ認めてもらう経験が、歯を大切にする気持ちや、次の受診へ向かう気持ちを育てると考えています。

ただし、腫れや強い痛みがある場合は、慣れる練習を待って受診を先に延ばすことは避けたいところです。まず痛みや炎症への対応を優先し、そのうえでお子さまに合った進め方を個別に相談しましょう。

船橋市での受診前に、きょうだい同伴と通院時間を確認する

きらり歯科クリニック津田沼はJR総武本線「津田沼駅」から徒歩5分の場所にあり、待合室にキッズコーナーを設けています。ただ、キッズコーナーがあることと、スタッフによる見守りや託児があることは別の話です。

2歳のきょうだいを連れて来院するなら、下のお子さまが診療室に一緒に入れるか、保護者が診療中に付き添えるか、キッズコーナーの利用条件を予約の際に確かめておきましょう。自転車で来る場合の駐輪場所や、当日の所要時間の目安も聞いておくと、帰りの時間まで見通しが立ちます。

予約やお問い合わせの際は、「6歳」「就学前健診で奥の乳歯のむし歯を指摘された」「最近片側でかんでいる」「以前の受診で泣いて歯科が苦手」と、そのまま伝えてください。事前に伝えておくと、初回を慣れる時間にあてるか、診察を中心にするかなど、今のお子さまに合わせた計画を相談しやすくなります。最新の診療日はアクセスページでご確認ください。

よくある質問

Q. 乳歯の詰め物が外れやすいと聞きました。なぜですか?

A. 乳歯は永久歯より小さく、表面のエナメル質も薄いため、詰め物を支える形をつくりにくいという特徴があります。生え替わりが近づくと根が少しずつ短くなり、歯がわずかに動くことも外れやすさに関わります。外れたまま過ごすとすき間からむし歯が進みやすいので、取れた詰め物を持って早めに歯科医院へご相談ください。

Q. 5〜6歳でむし歯が何本もあるのはなぜですか?

A. 乳歯は酸に溶けやすく、奥歯の溝も深いため、むし歯が広がりやすい構造です。加えて、間食や甘い飲み物の回数が多い、奥歯の仕上げ磨きが届きにくいといった生活の要因が重なると、短い期間で本数が増えることがあります。唾液の性質や生活習慣を確かめると、ご家庭で見直すポイントが絞りやすくなります。

Q. 乳歯のむし歯治療に保険は使えますか?長くそのままにすると費用は変わりますか?

A. 乳歯のむし歯治療は、一般的に保険診療の範囲で行われることが多い治療です。保険診療3割負担の場合、浅いむし歯を詰める処置は1本あたり数百円〜数千円程度、神経の処置やかぶせる処置が加わると数千円〜1万円程度になることがあるのが一般的な目安です。記載した金額は一般的な相場であり当院の費用ではありません。実際の費用は医療機関や処置内容により異なり、当院の費用は診察のうえでご案内します。お住まいの自治体の子ども医療費助成で窓口の負担が変わる場合もあります。むし歯が深くなるほど処置の内容や回数は増えやすく、長くそのままにしていた場合は、費用や受診の回数が増える傾向があります。

Q. 受診までの間、家でできることはありますか?

A. 仕上げ磨きでは、むし歯のある歯のまわりも力を入れすぎずに磨き、フッ素入りの歯みがき剤を年齢に合った量で使いましょう。おやつや甘い飲み物は時間を決めてとり、だらだら食べを減らすと、お口の中が酸性に傾く時間を短くできます。痛む側でかむのを無理にすすめる必要はありません。

Q. これから生える6歳臼歯をむし歯から守る方法はありますか?

A. 生えたばかりの永久歯は表面がまだやわらかく、溝も深いため、むし歯になりやすい時期があります。歯科医院でのフッ素塗布や、溝を樹脂でふさいで汚れをたまりにくくするシーラント、定期検診での確認が予防の方法として挙げられます。小学校低学年までは、ご家族の仕上げ磨きで奥歯までしっかり確認してあげてください。

浜野 亜紀子

歯科医師


きらり歯科クリニック津田沼

院長

浜野 亜紀子

▶ 監修者プロフィール

経歴
平成6年3月 私立 日出学園小学校 卒業
平成9年3月 私立 大妻中学校 卒業
平成12年3月 私立 大妻高等学校 卒業
平成12年4月 日本大学松戸歯学部 入学
平成18年3月 日本大学松戸歯学部 卒業
平成19年3月 日本大学松戸歯学部 臨床研修歯科医 修了
平成19年4月~平成28年9月 都内・千葉県内の歯科医院にて勤務
平成28年10月 きらり歯科クリニック津田沼 開業
資格・所属学会
日本歯科医師会
千葉県歯科医師会
船橋歯科医師会